丸善ジュンク堂書店は、丸善ジュンク堂書店各店および全国の書店スタッフの投票による「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」を、2023年10月26日に発表いたします。
また、2023年9月1日からは丸善ジュンク堂書店各店の店頭にてノミネート作品を集めたフェアを開催いたします。

書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト
◇ノンフィクション大賞開催の経緯
2018年より毎年実施していた〈Yahoo!ニュース|本屋大賞 ノンフィクション本大賞〉が、2023年は運営体制の変更により開催中止になりました。
そこで、丸善ジュンク堂書店として独自にノンフィクション本フェアを企画し、そのラインナップ46冊をノミネート作品として、投票で「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」を選出することを検討してまいりました。
投票については、本屋大賞事務局のご賛同を得た上で、他社も含めた日本全国の書店員にも参加いただくこととなり、文字通り「書店員が選ぶ」形でのノンフィクション大賞を実現することができました。

◇ノンフィクション大賞ノミネート作品の選考基準
・ドキュメンタリーやルポルタージュだけでなく、記録文学、自伝、評伝、考察、紀行文、インタビュー集、回想録など広い範囲を「ノンフィクション」と定義
・2023年5月までに刊行されたものすべてを対象
・日本語書籍に限らず、海外作品の日本語翻訳書も対象
・丸善ジュンク堂書店内で書店員によるタイトルおよび推薦文の掲示で予選投票
・投票数上位50タイトルから販売可能タイトル46作品を選出

◇ノンフィクション大賞発表までのスケジュール
9月1日~10月9日 丸善ジュンク堂書店各店にてノミネート作品のフェア開催
9月1日~9月30日 丸善ジュンク堂書店各店および全国の書店スタッフの投票
10月26日 大賞発表

◇ノンフィクション大賞発表・授賞式について
大賞受賞作は2023年10月26日にWeb上※および丸善ジュンク堂書店各店店頭にて発表いたします。
授賞式はジュンク堂書店 池袋本店(東京)にて11月中旬に行います。授賞式では表彰状および副賞の授与および、受賞作の著者を招いてのトークセッションを行う予定です。また、授賞式およびトークセッションには一般の方の参加を募集することも計画しています。
※「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」特設ページ
https://honto.jp/cp/hybrid/2023/hontai-nonfic

◇ノンフィクション大賞ノミネート作品フェア
「書店員が選ぶノンフィクション大賞 オールタイムベスト」ノミネート作品フェアを2023年9月1日から開催いたします。
開催期間:2023年9月1日(金) ~ 10月9日(月)
対象店舗:丸善ジュンク堂書店のhonto導入店(92店舗)

◇ノミネート作品のリスト
※印刷可能なPDF版(A3サイズ)はこちらからご覧いただけます

『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』 済東 鉄腸(左右社)
こんな展開、マンガでしかありえない。著者のとてつもない行動力とルーマニアへの愛に圧倒された。努力さえすればやれないことなんて何もない。今自分がいる場所から立ち止まって動けない人に捧げる1冊!
(ジュンク堂書店 郡山店 文芸担当 M.G.)

『母という呪縛 娘という牢獄』 齊藤 彩(講談社)
こんなにもお互いをがんじがらめにして苦しいのに、何故この親子は、母と娘であり続けたのか。そして父は、何故止まり木にしかなれなかったのか。「モンスター」はこれで本当に、消えたのだろうか。
(戸田書店 富士店 学参担当 セロリスキ)

『キリン解剖記』 郡司 芽久(ナツメ社)
ゲシュタルト崩壊をおこしかけるくらい、とにかくキリンへの愛と探究心がギュッと詰まった一冊。専門的な骨や筋肉の名前が少々出てきますが、面白さで気にならずにぐいぐい読めちゃいます。幼い頃から好きだったものをずっと追い続けるその情熱に脱帽です。
(ジュンク堂書店 新潟店 店長 書肆本屋書店)

『語学の天才まで1億光年』 高野 秀行(集英社インターナショナル)
語学への苦手意識が消えない私にとっては、まさにそれ!と言いたくなるタイトル。
著者にとって語学は「探検の道具」であると同時に「探検の対象」でもある。その言葉に語学習得の楽しさが凝縮されている。
(丸善 高島屋堺店 店長 S.N.)

『それでも食べて生きてゆく 東京の台所』 大平 一枝(毎日新聞出版)
失うことばかりだと思う夜がある。さまざまな喪失を乗り越えていく朝もある。この本に登場する人々の営みはどれも違うのに、台所を通した世界というのは自分に重ねるものが多い。食べて生きるという共通項。淡々と今をゆくため、私は今日もごはんをつくる。
(丸善 アスナル金山店 店長 Y.K.)

『フェルマーの最終定理』 サイモン・シン(新潮社)
あまりにも有名な数学界最大の謎であった「フェルマーの最終定理」が、数学者ワイルズによって完全証明されるまでの数学者たちの3世紀にわたる挑戦と苦闘はとてもドラマチック。数式や数学に関する部分は何を言っているのかが全くわからないのに、めちゃくちゃおもしろい!
(ジュンク堂書店 大阪本店 文芸担当 A.S.)

『笑い神 M-1、その純情と狂気』 中村 計(文藝春秋)
先に大阪に出ていた千鳥・大悟が「この人たちだけはおもろいから」とノブに紹介したのが、後の笑い飯・哲夫と西田だった。M-1決勝に9年連続で進出した笑い飯を中心に、「笑い」を追求し、M-1の狂乱に身を投じるコンビ達の光と闇、そしてその後を描く。
(ジュンク堂書店 旭川店 社会担当 mmyk)

『統合失調症の一族 遺伝か、環境か』 ロバート・コルカー(早川書房)
ギャルヴィン一家のこども12人のうち6人が統合失調症に。なぜ次々と精神疾患に見舞われていくのか。一族と原因を究明する研究者たちが軸になっている。病とはなにか、また人間とは何かを考えさせられるノンフィクション。
(丸善 アスナル金山店 社会担当 N.Y.)

『一度きりの大泉の話』 萩尾 望都(河出書房新社)
竹宮惠子と同居していた若き日々のことを頑なに語らなかった萩尾望都。ついに「一度きり」口を開いた。それは彼女たちの描くはかなく繊細な少女漫画そのもののドラマだった。
(丸善 高島屋大阪店 店長 H.H.)

『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』 佐々 涼子(早川書房)
被災しても紙を造ることを諦めなかった石巻工場復興の記録。本を手にしていることで一層、紙をつなげ届けようと奮闘された人たちへの感謝を覚える。被災の記録でもあるので読むのが苦しい場面もあるけれど読んでよかった知れてよかったと、紙の本が好きだからこそ思う。
(丸善ジュンク堂書店 関西外商部 M)

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 加藤 陽子(新潮社)
日本の戦争が経験から記録へうつり変わっていく現在、現実に戦争が始まった。戦争が始まる時、そこには何があるのか。誰かひとりの号令?権力を持った一部のひとの暴走?国を想った大勢の国民の意思?過去を知ることで現在からも未来からも戦争を遠ざけられればと願う。
(丸善ジュンク堂書店 関西外商部 M)

『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』 高野 秀行(集英社)
外国人が一人で歩いていると即攫われる群雄割拠のソマリアの中で、奇跡的に平和な謎の独立国ソマリランド。真実を突き止めるために、安全なソマリランドだけでなく、拉致の危険性と発砲音の中、ソマリ人にぼったくられながらソマリア全域を取材していく。その結果がこの本です。
(丸善 日本橋店 書籍グループ長 K.I.)

『木に学べ 法隆寺・薬師寺の美』 西岡 常一(小学館)
最初に読んでから30年が経過しているがあの時に震えた心は今も忘れえない。SDGsなど知りようもなかった誇り高き宮大工の棟梁ははるか昔に静かな熱い言葉でその答えを語っていた。
(丸善ジュンク堂書店 営業本部 C.K.)

『あしたから出版社』 島田 潤一郎(筑摩書房)
本が好きでこの仕事をしている、はずだった。よく分からなくなった時に、この本と出会って文字通り救われた。今では私にとって親友のような存在。これが実際に起こったことだという事実に何度も励まされる。これからもきっと励まされるのだと思う。
(丸善 松本店 店長 H.O.)

『くもをさがす』 西 加奈子(河出書房新社)
西加奈子さんが乳がんを患いコロナ禍のバンクーバーでキャンサーフリーになったノンフィクション。
がんと生きる日常が、痛みが、克明に記録されています。
西さんの感情を代弁しているかのような引用文を読むと、物語には人を生かす力があると感じられます。
(ジュンク堂書店 名古屋栄店 文芸・文庫担当 Y.N.)

『書籍修繕という仕事 刻まれた記憶、思い出、物語の守り手として生きる』 ジェヨン(原書房)
アメリカの大学院で書籍修繕に目覚めた女性が帰国し、母国で書籍修繕書店を開店する。持ち込まれた書籍には様々な思いが込められており、書籍が彩る人生の豊かさを味わうことができる。大量消費社会に生きる今だからこそ胸に迫るものがある。
(ジュンク堂書店 秋田店 文芸担当 735号)

『タモリ学 タモリにとって「タモリ」とは何か?』 戸部田 誠(イースト・プレス)
お笑いBIG3で誰が好き?と尋ねられたら、なぜか「タモリ」と答えたい。もちろん「たけし」も「さんま」も偉大なお笑い芸人なんだけど。タモリは唯一無二だからこそ、「論」でも「評」でも「全て」でもなく、「学」がしっくりくると思っている。
(丸善 日本橋店 ビジネス書担当 R.T.)

『限界ニュータウン 荒廃する超郊外の分譲地』 吉川 祐介(太郎次郎社エディタス)
地価狂乱の時代、超郊外に開発された「夢のニュータウン」。半世紀経った今、住民は高齢化し地価は暴落。売れ残った土地を抱え開発業者は倒産。権利が不明瞭な細切れの土地が田畑の合間で虫食い状に潜む。限界集落、原野商法といった諸問題は「とおいどこか」だけでの話ではない。
(ジュンク堂書店 旭川店 学参・児童書担当 N.S.)

『深夜特急 新版 1 香港・マカオ』 沢木 耕太郎(新潮社)
バックパッカー文化を作りだしたのはこの本ではないだろうか。貧乏な若者がバックパックを背負いチョンキンマンションの前に、カオサンロードの安宿に押し寄せた。旅ってなんだろう、生きるってなんだろうと考える切っ掛けをくれる本。
(ジュンク堂書店 三宮店 文芸担当 S.H.)

『聖の青春』 大崎 善生(KADOKAWA)
羽生七冠をもっとも追い詰めながらも夭折した天才棋士・村山聖の生涯を描いた作品です。難病を抱えながらも、将棋に命を燃やし、まっすぐ純粋に生き抜いた姿に感動を覚えます。
(丸善 松本店 文具担当 有希)

『母親になって後悔してる』 オルナ・ドーナト(新潮社)
女性だから、出産したからといって母性が育まれるわけではなく、母であることに苦しむ人は少なくない。母親になって後悔してると言えないのは、そんな母親がいることを社会が認めたくないからではないか。
(丸善 高島屋堺店 店長 S.N.)

『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』 鈴木 智彦(小学館)
この本を読んでからというもの、夜に車や電車で移動する時ついつい目を凝らして海岸沿いを見てしまったり、スーパーの鮮魚売り場に並んでいる魚がやけに気になったりします。
(MARUZEN&ジュンク堂書店 札幌店 芸術担当 やすこ)

『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』 梯 久美子(新潮社)
浮気をした夫の妻が精神を病み狂乱する、島尾敏雄の私小説ともいえる「死の棘」。
「嫉妬に狂う妻」という長年の通説を、あらゆる視点から調べ尽くして覆したこの本に、私はノンフィクションがフィクションを超える瞬間を見た。
狂っていたのは本当に妻だったのだろうか?
(ジュンク堂書店 池袋本店 文芸担当 M.I.)

『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』 奥野 克巳(新潮社)
プナンの人々の狩猟採集を中心とした生活は、科学とテクノロジーに頼る現代の生活に、「別の生の可能性」を指し示してくれる。当たり前にある言葉や行動、そういったものを取り去って、今を見直す1冊。
(ジュンク堂書店 難波店 人文担当 大和駆)

『未解決事件グリコ・森永事件捜査員300人の証言』 NHKスペシャル取材班(新潮社)
「三億円事件」と並ぶ未解決事件「グリコ・森永事件」、捜査員があのキツネ目の男を発見した場面は手に汗を握る。あそこで職質していれば事件の展開もまた違ったものになっていたのかもしれない。
(ジュンク堂書店 上本町店 雑誌担当 S.O.)

『全国アホ・バカ分布考 はるかなる言葉の旅路』 松本 修(新潮社)
単なるいちテレビ番組しかもバラエティ番組と侮るなかれ。民俗学の巨人柳田國男が提唱した「方言周圏論」を見事に実証してみせた、知的興奮に満ちた傑作ノンフィクション。
(ジュンク堂書店 上本町店 雑誌担当 S.O.)

『みんなが手話で話した島』 ノーラ・エレン・グロース(早川書房)
「私は聾のことなど気にしていませんでした。声の違う人のことを気にしないのと同じです」これは作品中のインフォーマントの証言。
障害をつくりだすのは社会なのか?考えさせられる一冊です。
(ジュンク堂書店 秋田店 店長 M.S.)

『ある行旅死亡人の物語』 武田 惇志/伊藤 亜衣(毎日新聞出版)
人間の死亡という結末は人それぞれ。その結末が気にかかり、故人の人生を遡って知りたくなることもある。ドラマかと疑うようなお話です。きっと映像化されますね、間違いない。
(丸善ジュンク堂書店 福岡外商部 M.U.)

『ただしさに殺されないために 声なき者への社会論』 御田寺 圭(大和書房)
平等だからこそ格差が生まれ、自由だからこそ疎外や孤立が生まれる。そしてやさしい私たちはそこから目を逸らす。
美しく輝く「ただしさ」の物語の陰で、打ち棄てられ朽ち果てようとしている30の断片をそっと掬いあげ、その声なき叫びを記した記録の書。
(丸善 京都本店 話題書担当 H)

『「その他の外国文学」の翻訳者』 白水社編集部(白水社)
英語、フランス語など主要言語以外の「その他言語」の翻訳はどのようになされているかに思い至ったことがありますか。ベンガル語、マヤ語、チェコ語の翻訳者がちゃんとおり、彼らへのインタビューから伺い知れる言語の奥深さを存分に堪能できる本書は、貴重な読書の喜びを私たちにもたらしてくれます。
(丸善ジュンク堂書店 営業本部 偽ヨウム)

『オカルト・クロニクル 奇妙な事件奇妙な出来事奇妙な人物 増補新装版』 松閣 オルタ(二見書房)
オカルトに興味のある人ならば一度は小耳に挟んだことのある不可思議現象や未解決事件を膨大な資料で分析、取材し果敢に推理し読み解く。ただ怖がったり面白がったりするだけでなく追究していくスタイルが素晴らしい!書き下ろし、未発表を加え増補版として復活。
(丸善ジュンク堂書店 福岡外商部 書店員F)

『墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 新装版』 飯塚 訓(講談社)
日航ジャンボ機墜落事故で犠牲となった無慈悲な遺体に身元確認責任者として懸命に向き合った刑事官が書いた奮闘記。目を覆いたくなるような惨たらしい状況を、エモーショナルにならず淡々と書き上げた文章が、かえって事故の悲惨さを際立たせている鎮魂のルポルタージュ。
(ジュンク堂書店 旭川店 店長 M.H.)

『本屋、地元に生きる』 栗澤 順一(KADOKAWA)
たくさんのお客様が来てくださり、ベストセラー本も重版されるとたちまち入荷。そんな恵まれた環境に、私はいつの間にか甘えていたのかもしれません。この本に叱咤激励されながら、昨日よりも今日、一つでも多くの出会いがある売り場になるようにと、本を並べる毎日です。
(丸善 高島屋大阪店 社会担当 K)

『ルポ路上生活』 國友 公司(KADOKAWA)
2021年夏東京オリンピックの開催される中、著者自ら2ヶ月間路上生活を体験。東京では各所で炊き出しや物品支給があり、食べるのに困らないどころか収入も得られるという。今までなんとなく想像していたのと現実は全く異なり、ルポルタージュの凄みを感じさせる。
(丸善ジュンク堂書店 福岡外商部 書店員F)

『旅をする木』 星野 道夫(文藝春秋)
星野道夫氏の本はいくつもありますが、その中でも一冊、と言われたらこれを選びます。内容も表紙も、はじめの一冊にふさわしい文庫です。文庫で常に彼の思想や生き方を読めるのは幸せなことです。
(丸善 日本橋店 文庫担当 A.K.)

『UFOs 世界の軍・政府関係者たちの証言録』 レスリー・キーン(二見書房)
地位があり、戦闘機・航空機の挙動は人一倍熟知している各国の軍人たち。
そんな彼らをもってしても満足な説明ができず、UAP(未確認空中現象)だと言わざるを得ない数々の事例を、なるべく客観的な視点から紹介。
アメリカ政府を動かすきっかけとなった本。
(ジュンク堂書店 旭川店 学参・児童書担当 N.S.)

『ハイパーハードボイルドグルメリポート』 上出 遼平(朝日新聞出版)
リベリアの墓地、ロシアのカルト村、ケニアのゴミ山。「ヤバい世界」に踏み込んで、そこで生きる人々の飯を見せてもらう。
普段は黙殺されている世界の一端を「グルメリポート」なんてタイトルで強烈に叩きつけてくる、凄まじいルポルタージュ。
(丸善 京都本店 副店長 yo-ho)

『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」』 斉藤 光政(集英社)
青森のある民家から発見された古文書、その真偽を巡る駆け引きに最初から最後まで手に汗握りっぱなしのノンフィクション。「東日流外三郡誌」が誕生するキッカケを作った社会的背景や様々な人達の思惑。「人間」を深く考えさせられる一冊でもあります。
(丸善 ラゾーナ川崎店 文庫・新書担当 J.I.)

『きみは赤ちゃん』 川上 未映子(文藝春秋)
「じっさいの妊娠生活は、わたしの想像をはるかに超えた過酷かつ未知すぎるものだった」芥川賞作家が記した涙と笑いの出産&育児エッセイ。
いつか我が子がこの問題に直面した時には本書を手渡して背中を押してあげたい。「な、めっちゃおもろそうやろ?」と。
(丸善 京都本店 コミック担当 へっくん)

『列伝体 妖怪学前史』 伊藤 慎吾/氷厘亭 氷泉(勉誠出版)
妖怪ってなに? 昔から日本で言い伝えられてきた存在、とか言うけど本当にそう? 人類よりずっと以前からいるような顔して、実は昭和生まれの妖怪とか沢山いる。この本は、妖怪という「概念」「文化」の変遷を、個人にスポットを当ててまとめた稀代の書!
(丸善 日本橋店 社会担当 R.T.)

『誘拐』 本田 靖春(筑摩書房)
1963年に起きた誘拐事件を取り上げたノンフィクション。事件が犯人と警察の両方からスリリングに描かれています。人を裁くことの重さを感じられる作品で、最後の一言は心に響きます。
(丸善 松本店 文具担当 Y.T.)

『高熱隧道 改版』 吉村 昭(新潮社)
黒部第三発電所建設のための隧道貫通という難工事に挑んだ者たちの記録。300人もの犠牲者を出した、岩盤最高温度166℃という死と隣り合わせの現場。淡々とした文章から、現場の緊張感や過酷さがヒシヒシと伝わってくる。ずっしりと心に響く作品。
(丸善 京都本店 理工担当 N.A.)

『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 上』 増田 俊也(新潮社)
不世出の柔道家・木村政彦はなぜ力道山に敗れたのか?八百長なのか真剣なのか。木村政彦を信奉する著者は調べれば調べるほど自分の期待から離れていく事実に戦慄する。そしていつしかその筆は柔道を通して描く壮大な日本近代裏面史となっていく。
(丸善 高島屋大阪店 店長 H.H.)

『20代で得た知見』 F(KADOKAWA)
若いうちに読め!と勧められる本第1位 普遍的なことから実践的なことまで、幅広い視点で人生観を得られます。また、先の不安が多い20代に対して、筆者の経験を踏まえた人生の楽しみ方や価値観を尊重することの大切さを学ぶことができる本です。
(ジュンク堂書店 大泉学園店 文庫・新書担当 Rin)

『終止符のない人生』 反田 恭平(幻冬舎)
「ショパンに出会えたおかげで、僕の人生はこんなに豊かになった」──コロナ禍でコンクールが突然中止になる可能性がある中、胸中穏やかでない時になぜこう思えたのか。日本人として半世紀ぶりのショパン国際ピアノコンクール2位受賞。今、話題の音楽家・反田恭平これまでの軌跡です。
(ジュンク堂書店 上本町店 学参担当 お茶)

『もの食う人びと』 辺見 庸(KADOKAWA)
「ノンフィクションを読んだ」という実感を初めて持ったのはこの本を読んだ時だった。「食べる生きる」人間の生々しさが当時の私に強烈にぶっ刺さった。90年代のルポルタージュ、当時と世界情勢は変わっても、この普遍的なテーマは今でもまったく変わらない。
(丸善ジュンク堂書店 営業本部 Y.K.)